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ある夜、寝ていると僕の耳元で懐かしい声が聞こえてきました。「ガンバ、起きて!」
薄目を開けて周りを見渡すと、あの懐かしいさっちゃんの姿が見えました。「さっちゃん、会いたかったよ〜。今どこで何をしているの?」しかし、僕の質問にさっちゃんは笑って応えず、僕にあとについてくるように言いました。僕は起き上がってさっちゃんの後を追いかけました。暗いトンネルのようなところを抜けると、真夏の青空の下、緑の木々が映える素敵な空間が見えました。そこには、なんとあの懐かしいたーちゃんもいて笑顔で僕を出迎えてくれました。そして、さっちゃんとたーちゃんに連れられてあるお家に入ると、そこにはとっくに虹の橋を渡った懐かしい面々の姿も。不思議なことに、実際に会ったこともない猫仲間でも、僕にはそれが誰だか一瞬のうちにわかりました。さっちゃんから、「ガンバ、虹の橋の仲間たちで猫会議を不定期に開くことになったけど、ガンバもよかったら参加してみない?」と誘われ、僕は二つ返事で快諾していました。
猫会議の議題はその都度さっちゃんたちが決めるとのことでした。その時は初回なので特に議題はありませんでした。僕はさっちゃんにいろいろと質問したことは覚えているのですが、初めての経験だったので、こちらの世界に帰って来るとその大半を思い出すことができませんでした。さっちゃんたちに、「ガンバ、このことは決して忘れないようにね」と念を押されたのは覚えているけれど、こちらの世界に戻って来て目を覚ますと、だんだんその時の記憶が薄れていき、終いには何を言われたのか分らなくなりました。ただ、懐かしい仲間たちと旧交を温め再会を約束して、また暗いトンネルを抜けて戻って来ると、耳に教会の鐘のような響きがしばらくこだましていたことだけははっきりと覚えています。
次回からは猫会議で聞いた耳寄りな話を、覚えている範囲内でみなさまにご披露しますね。
ガンバ(2世)
平成28年8月10日
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